PROJECT

計画策定
島根県

海士町総合振興計画

海士町総合振興計画

1人でできることから1000人でできることまで

自治体はこれまで完璧な空間やサービスをつくろうとしすぎて「いたれりつくせり」な社会を生み出してきました。「お客さん」になる住民を増やし続ける社会は同時に新たな社会的課題を増やし続けます。また、「東京に追いつけ、追い越せ」というベクトルで地域開発をすると、地域の当たり前の良さが失われていくことにもなります。

島根県隠岐諸島のひとつ海士町では、2009年、今後10年間の町運営の指針となる第四次総合振興計画「島の幸福論-海士ならではの笑顔の追求-」を策定しました。一般的な総合振興計画は、行政施策が一覧になっている難しい冊子しかありません。そこで海士町では、住民一人ひとりが主体的にまちづくりに関わるために「第四次海士町総合振興計画(別冊) 海士町をつくる24 の提案」という絵本のような冊子を制作。生活者の視点からの課題を抽出し、24 の「まちづくり具体案」が掲載されています。各具体案は、1 人でできることから10 人、100 人、1000 人の力を合わせてできることに分けて示しています。まちづくりの手順を紹介し、新たな提案を募るための提案シートも付属しています。

実効性のある計画策定のためのデザイン

今回の総合振興計画は、住民参画によって策定されました。公募によって集まった15歳から70歳までの約60名は、海士町ならではのまちづくりを追求するために、「人」・「暮らし」・「産業」・「環境」の4つのチームに分かれ、60回以上にわたるワークショップや勉強会、合宿などを開催し、最終的に24の「住民による具体案」を提示しました。また、計画づくりに参画しなかった住民がいつでも計画に関われる仕組みもつくりました。

現在は、計画を実現させるための住民チームの活動支援や取組を支える行政側の仕組みづくりなども進めています。すでに5つのプロジェクトチームが立ち上がり、竹やぶを解消しながら竹細工や竹炭をつくる「鎮竹林(ちんちくりん)プロジェクト」、若者の交流の場をつくる「海士人宿(あまじんじゅく)プロジェクト」、島内唯一の高校のブランディングを図る「島前高校の魅力化プロジェクト」などの取組が始まっています。

DATA

発注者

島根県隠岐郡海士町

その他

グットデザイン賞2010 受賞

弊社の担当者

岡崎、醍醐、神庭、西上、井上