PROJECT
震災+design
震災時の避難生活を題材としたワークコンペ
社会が抱える様々な課題を「デザインの力」で解決する――。studio-Lが事業の柱のひとつとしている「ソーシャルデザイン」に関する初めてのプロジェクトを2008年度に実施しました。このプロジェクトは、デザインが、商業的に有効なだけでなく日本や世界で山積している社会的な課題に対しても貢献できることを、もっと多くの人たち、特にデザインを志す若者たちに知ってもらいたい、という問題意識から始まりました。 課題テーマは「震災」。常に大地震の危険にさらされている日本だからこそ、世界に対して高い提案性と発信力を求められていると考えたからです。
プロジェクトでは私たちが学生だったときにやってほしいと思ったことを盛り込みました。社会的な課題に思い切り取組むことができること。これまで接することのなかった人たちと友達になれること。自分の提案に対してプロの意見がもらえること。コンペに勝ち抜けば日本中を旅行させてもらえること。提案が実現する可能性があること。それらを実現するために、ワークショップでありコンペティションでもあるという今までにない枠組みをつくりました。
デザインの新しい可能性を感じてもらうきっかけづくり
全国から22組44名の学生が参加し、震災時に体育館へ避難した際に生じる様々な「課題」を見つけ出し、デザインによる解決を模索しました。神戸での「課題共有ワークショップ」では、震災の追体験や講義を受けた上で、避難生活における課題について意見交換と共有を行ないました。その後、提出作品の第一次選抜を通過した11組22名による福岡での中間発表会、避難生活体験者の講評会、事務局とのブラッシュアップセッションなどを経て、東京での最終発表会に臨みました。
提案のパネルや模型は、東京と神戸での展覧会で発表し、『震災のためにデザインは何が可能か』(NTT出版)という書籍も出版。学生たちは、プロジェクトを通じて新たなデザインの可能性を探ることができました。また、デザイナーやメディア関係者、行政関係者、社会起業家など、社会課題とデザインに携わる職業の方々から、一般市民の方々まで、幅広い人にデザインの新しい可能性を感じてもらうきっかけとなったと考えています。
DATA
発注者
株式会社博報堂
担当者
醍醐,西上
主な協働者
株式会社博報堂