PROJECT
藤沢市 地域さんかく塾

高齢者のフレイル予防と地域交流促進
藤沢市「地域さんかく塾」は、藤沢市が高齢者のフレイルを予防する視点から、地域交流の促進を図る目的として2019年から取り組んでいるプロジェクトです。
1年目は外に出る機会を増やし、交流を促してきましたが、2020年に新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言で外出が困難に。新しい交流のあり方を模索する中で、「外出せずに交流をはじめるきっかけに」とステイホームダイアリーを開発・導入しました。
交換日記でつながりを作る「ステイホームダイアリー」
ステイホームダイアリーとは、多世代のメンバーで構成された3人1組のグループでやりとりをする交換日記です。「おうち時間の過ごし方」をテーマに、運動や料理など日々の実践をダイアリーに記録します。参加者を3人1組のグループに分け、藤沢市役所を通して7~11か月をかけて6~10周ダイアリーを交換し、活動期間には対面またはオンラインで参加できるワークショップを開催しています。
参加者からは「どんな反応が書かれているのか回ってくるのが楽しみになる」、「日記が届くと友人が遊びにきたような感覚になる」等の感想がありました。2~3回ほどダイアリーを交換するとおすすめのお菓子等の包装紙を貼る、ジップ付きビニール袋で植物の種をシェアする、気になっていたことをやってみて報告するなど参加者独自の使い方がうまれました。オンライン会議にもほぼ全員が参加できるようになり、スマホデビューした参加者も複数いました。
多世代交流で新しいことをはじめるきっかけに
交換日記は郵送でのやりとりが基本でしたが、参加者の半数が直接市役所にダイアリーを持参し、保健師に手渡していました。ダイアリーに書ききれなかったことを市役所職員に楽しそうに話すだけではなく、多忙な保健師を気遣い「何か手伝える活動はないか」「自らの入所施設でもダイアリーをやってみたい」と提案する参加者もいました。また、ステイホームダイアリーを導入したことにより、異なる世代の情報に触れ、新しいことをはじめるきっかけとなったり、葛藤を心置きなく吐露することで肯定的な意見や励ましから心の健康維持につながる様子がみられました。例えば、80代参加者が「免許返納」の葛藤を記載した時に、70代の仲間から類似体験のコメントが書き込まれ、50代の仲間からはカッコいい自転車を紹介され、最終的には気持ちの整理がつき納得して免許を返納し、サイクリングをはじめたという事例がありました。


DATA
発注者
神奈川県藤沢市
担当者
西上、出野、洪、本間
その他
グッドデザイン賞2021