PROJECT

医療福祉
秋田県

2240歳スタイル&あきた年の差フレンズ

2240歳スタイル&あきた年の差フレンズ

2240歳スタイル&あきた年の差フレンズ

人生の先輩の暮らしに着目する

秋田県秋田市は、2011年にWHOが提唱するエイジフレンドリーシティ(高齢者にやさしい都市)グローバルネットワークに参加し、高齢になってもどんな人でも暮らしやすいまちづくりを進めています。studio-Lでは元気な高齢者が支えが必要となった高齢者を支えていく仕組みについて相談を受けました。でもそもそも「高齢者」ってどんな人で、どんな生活や人生を送ってきたのでしょう。私たちは高齢者を「人生の先輩」と変えて、彼らの生活をのぞかせてもらい調査することにしました。市内に暮らす65歳以上の市民29名の人生を調査すると「高齢者」とひとくくりにしていた時には見えなかった彼らの生活や実態や実感が見えてきました。

2240歳スタイル

調査した結果をまとめ、展覧会「2240歳スタイル〜時間を味方にする人生の先輩たち〜」として広く伝えました。同時に、展覧会を一緒に盛り上げたいと思う秋田市民を募り、おみやげや体験ゲームを考えて来場者の心に残る工夫が凝らされました。おかげで来場者は「親とまた来たい」「これからおじいちゃんに会いに行く」と小さなアクションにつながりました。
調査から、先輩たちは「最期まで住み慣れたまちで、暮らしていきたい」と願っていることがわかりました。そして元気に暮らすヒントが12個見つかり、中でも「年の差がある友達」がとても」重要な要素だとわかりました。そこで翌年は、市民を募って「年の差がある友達をつくる方法」について話し合い、実験して、検討しました。年の差がある友達との共通点を考えて、出会う方法、一緒に楽しむ方法、普段から声をかけ合える関係を築く方法に試行錯誤しました。

年の差のフレンズ

3年目には、自分たちで年の差のある友達を増やしていくため、「あきた年の差のフレンズ部」という部活動として出発しました。会議は外でバーベキューしながら、時々みんなでお菓子作りや漬物づくりをしたり、きりたんぽを食べに遠足にでかけたり、年の差がある友達が増える方法を実験して、徐々に部員を増やしていきました。また、先輩に相談したことで結婚にふみきったり、みんなで模擬葬式をやってみたり、人生に関わる出来事を一緒に経験しながら、部活を楽しんでいます。

現在は、約40名程度の部員が「ゆるく、楽しく、でもほっておかない!」をモットーに活動し、いざ助けが必要になったら気軽に声をかけられる関係を築いています。
コロナ禍でも、先輩と後輩は「オンラインってなに?」というところから教え合い、少しずつ活動を始めています。年の差がある友達がいるからこそ、どんなことにもすぐに対応できる柔軟な関係ということにも気づくきっかけになりました。

DATA

発注者

秋田市

担当者

出野、西上

受賞歴

2018年度グッドデザイン賞